大阪教職員組合(大教組)など大阪府内の3つの教職員組合は2024年6月5日、2025年大阪・関西万博での児童・生徒の「無料招待」事業を中止するよう求めて、大阪府教育庁に要請し、記者会見を開いた。
教職員組合の要請は2024年4月以来2度目となる。4月の時点では、安全確認や詳細な情報提供などを求めていたが、今回の要請ではさらに一歩踏み込んで、事業「中止」を求めた形になっている。
2025年万博の問題
2024年に入り、万博をめぐる状況については、マイナスのイメージになることが相次いでいる。
2024年3月には、会場予定地の工事中のエリアで、メタンガスに引火して爆発する事故があった。幸いにして工事関係者には人的被害がなかったというが、埋め立て地から生じるメタンガスの発生状況は深刻で、しかも事故現場のエリアでは、貸切バスなどの駐車場も予定されている。
また2024年5月を回答期限として、大阪府が府内の学校に対して、参加希望の有無などを尋ねる意向調査を実施した。大阪府では全体の約7割が「希望する」と回答したと発表した。しかしその一方で、「希望しない」とする回答の選択肢自体がないことや、「未定・検討中」と回答した学校には個別に連絡するとしたことなどが圧力になったのではないかとも指摘されている。
マスコミ報道などによると、学校側は、交通面や会場での熱中症などの不安をあげて「本来は、できれば学校単位ではつれていきたくない」などとしたものの、「圧力を感じた」「本当なら未定・あるいは不参加と書きたいが、未定で返答した場合、日程やバスの割り当てから外されるなど不利益を受けて、あとで面倒なことになりそう」などとしているという。
「意向調査」の問題点
大阪府の意向調査に瑕疵があると指摘されたことは、各マスコミで大きく報じられた。
その中で、今回の6月5日の教職員組合の要請となる。要請は2回目となるが、今回の要請では、前回の内容よりも踏み込み、「中止」を求める立場を鮮明にしている。
前回要請での安全対策について十分な回答がされていないこと、開会中の安全対策が示されていないこと、会場の夢洲(大阪市此花区の人工島)は交通態勢が貧弱で避難対策なども十分ではないことなどをあげ、「子どもの安全やいのちが保障されているとは思えない」と指摘した。
雑感
2025年大阪万博の問題は、日を追うごとに問題が大きくなっているようにも感じる。
全体的な話としても、かなりとんでもないことになっている。
とりわけ、「無料招待」と称して児童・生徒を動員するようなやり方によって、現場の児童・生徒や教職員、保護者、教育行政など各分野に悪影響を与えてしまう形になっている。
このようなことを「見切り発車」のような形でしてしまうと、とんでもないことにつながってしまうのではないかという不安や危惧がある。
無料招待事業の中止、あるいは少なくとも「学校単位での事業は中止、希望者には招待券を交付して、個人で来場する」ことについては、選択肢のひとつとして、思い切って決断されるべきことであろう。