万博「無料招待事業」:教職員団体が大阪府議会に請願書提出

大阪府内の教職員有志らでつくる団体「おまかせHR研究会」は2024年9月18日、2025年大阪・関西万博で大阪府が学校単位での招待事業を計画していることについて、「希望時期に下見を実施できるようにすること」「問い合わせ窓口を設置すること」などを求める請願書を大阪府議会に提出した。

経過

大阪・関西万博では、大阪府は4歳から高校生までの児童生徒を無料招待対象とし、うち小中高校などに在学する児童生徒については学校単位での招待とする方向性を公表している。

招待は、遠足・校外活動・学校行事などの形で実施するとしている。

これまで、府内の小中高校など計1526校が招待に応じる方針を示した。一方で大阪府の集計方針に問題があり、「事前の参加意向調査に対して、参加を拒否したり『現時点では検討中』と回答すると、不利益を受けると受け取れるような内容になっていた」などの声も出ている。

さらに、万博予定地建設工事現場でのメタンガス滞留や爆発事故の問題、開催時期が4月~10月になることで熱中症対策の日よけがあるかどうかなどの不安、弁当を食べる場所などの問題、教職員の下見ができずに引率者が不安や負担を感じていること、会場アクセスの問題、台風・落雷・地震などの自然災害とその避難体制に関する不安など、さまざまな問題が噴出している。

これまでにも、教職員組合や保護者団体など、複数の団体からも不安や懸念の声が寄せられ、情報周知の徹底や、懸念事項への万全な対策を取ること、また無料招待事業自体を中止することを求める要望が出されている。

今回の「おまかせHR研究会」の請願内容は、以下のようなものになっているという。

【請願事項】

  1. 大阪府は、パビリオンや会場内設備についての情報を教職員および児童や生徒に周知し、各校の実情に応じて、必要かつ十分な教職員数で希望する時期に下見ができるようにすること。
  2. 大阪府は、下見をした学校が万博へ引率できないと最終的に判断した場合にも、学校や教職員が下見の費用を負担することのないようにすること。
  3. 大阪府は、児童や生徒が集合したり休憩したりするための場所や時間を各校が調整できるよう、万博協会と連携して、同じ日時における他校の参加人数など、当日の情報を各校に提供するとともに、 同時刻に集中しないように努めること。
  4. 大阪府は、「万博招待事業」に伴う子どもたちや保護者の不安や疑問に対して、学校ごとの対応に加え、誰もが問い合わせできる窓口を設置及び周知すること。

雑感

これらの請願事項は、引率する教職員にとっても、また参加する児童・生徒にとっても、子どもを送り出す保護者にとっても、重大な心配事となっている。

万博実施や「無料招待事業」への賛否はひとまず脇に置いても、招待事業をおこなうのなら、児童生徒が安全に会場を回れるような手立てを取り、また引率する教職員のとっても負担や不安のないようなものにしていく必要がある。

大阪府はこれらの請願に真摯に答える手立てを取り、少なくとも不安を十分に解消する方策をとっていく必要がある。それがないままに招待だけを実施して、大変なことになっては元も子もない。