新潟県田上町立中学校で、教諭が特定の生徒に暴言を吐き、そのことでいじめを誘発していたことがわかった。
経過
田上町立中学校で1年の担任だった男性教諭は2020年1学期、クラスの男子生徒1人に対し、特定教科のテスト成績が悪かったとして、クラス全員の前で罵倒する行為をおこなった。
このことで、当該生徒への、生徒間のいじめを誘発した。同級生の男子生徒が当該生徒の答案用紙をのぞき込んで罵倒する、運動が苦手な当該生徒に対して「そんなこともできないのか」などと罵倒するなどの行為があった。
また、女子生徒2人が当該生徒を見下す発言をおこなったともされる。
これらの行為が積み重なり、当該生徒は2年だった2021年9月頃から登校できなくなった。いじめが原因の適応障害と診断されたとしている。
保護者は、生徒が不登校になった直後から、いじめを疑い相談していた。しかし学校側は、適切な対応を取らなかった。
保護者は2022年10月、「生徒の体調が、当時のことを話せる程度にまでなった」として、詳細な調査を求めたものの、その段階でも学校は特段何もしなかった。
生徒は不登校状態のまま2023年3月に卒業したものの、卒業後も体調が優れない状態で、フリースクールを利用しているという。
卒業後の2023年7月に第三者委員会が設置された。しかし生徒らの卒業を理由に、同級生への聴き取りはおこなわれなかったとしている。
第三者委員会では2024年2月に調査報告書をまとめ、教諭の暴言と生徒の暴言計3件の計4件をいじめだと認定した。女子生徒2人の暴言についてはいじめとは断定せず「いじめ類似行為」という指摘にとどめた。
一方でいじめと不登校との因果関係については「不明」だと結論づけた。
雑感
いじめは、加害者にとっては「大したことではない」のかもしれない。しかし被害者にとっては、著しい心身の傷を残すもので、一生にかかわる。起こさせてはいけないというのが理想ではあるが、万が一起きた場合でも早期のうちに芽を摘まなければならない。
しかし今回のケースでは、教諭の発言で、生徒間のいじめを誘発した状況がうかがわれる。さらに学校側の対応が後手に回り、事態をこじらせている。これらの経過をみると、極めて悪質な行為だというべきものであろう。