大阪府公立高校入試「日程前倒し」案を公表

大阪府教育委員会の諮問機関である大阪府学校教育審議会は2024年8月16日、公立高校入試制度の改革案を公表した。

大阪府の公立高校入試について、実施時期を現行の3月中旬から2月中旬~下旬に前倒しするなどの策が盛り込まれている。

改革案の内容

大阪府が実施した私立高校授業料完全無償化の影響により、受験生が私学に流出する傾向が進み、公立高校の志願者が減少していることがあげられている。

2024年度の高校入試では、私立高校への専願率が3割に上った。その一方で、公立高校については、文理学科などを設置する一部の人気校に人気が集中する一方、それ以外の学校では定員割れが相次ぐなど、格差が激しい状況になっている。全日制府立高校145校のうち70校が定員割れとなった。

大阪府の条例では、「3年連続定員割れとなった府立高校では、統廃合を含めた再編を検討する」という方針が打ち出されている。

志願者減少への対策として、入試制度改革を打ち出した。

もっと根本的、多面的な対策が必要

しかしながら、高校入試の日程を前倒ししただけで対策になるのか、極めて疑問である。

私学無償化については、一般的にいえば、生徒の学ぶ権利などの保障そのものまでは否定できない。

しかしながら大阪府の進めている私学完全無償化のやり方では、かなり強引な方法がとられているため、公立高校離れを生み、入試日程が早い私学への誘導を強化しているという気がしてならない。

さらに大阪府条例でのしばりにより、公立高校の廃校や縮小などの策が進んでしまうということにもなる。これでは、セーフティネットにもなりうる公立高校の役割が縮小されてしまうことにもなってしまう。

入試日程を前倒しするだけでは、根本的な解決にはならないという印象を受ける。

私学無償化制度や、大阪府の公立高校入試の判定方法、公立高校のあり方、また「3年連続定員割れの学校は廃校を含めた統廃合対象とする」とした大阪府条例の見直しなど、もっと多面的な対応が必要ではないか。